20年ぶりの完全新作が届いた。カプコンの『鬼武者 Way of the Sword』を手に取ってから、すでに何十時間も刀を振るっている。江戸時代初期の京都が舞台で、主人公は宮本武蔵。鬼の篭手をはめ、幻魔を斬り続ける物語だ。発売から少し時間が経った今、改めてこの作品をどう評価するか、実際にプレイした立場から正直に書いておきたい。
まず結論を言うと、剣戟アクションとしての完成度はかなり高い。刀と刀がぶつかり合う瞬間の手応え、受け流しや弾きで敵の力動を削っていく緊張感、崩し一閃で一気に斬り伏せる爽快感。これらがしっかり噛み合っている。一方で、探索や寄り道の部分には少し息切れする場面もあった。総合的には「買ってよかった」と思える一作だが、向き不向きがはっきりしている。
この記事では、ゲームの全体像を整理したうえで、初心者が最初に押さえておくべきポイント、効率よく進めるための工夫、クリア後に気づいた注意点などをまとめる。シリーズ経験者も、初めて触れる人も、役に立つ内容になるはずだ。
ゲームの基本情報と全体像
『鬼武者 Way of the Sword』は2026年9月4日に発売された。対応ハードはPlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2、PC(Steamなど)。CERO Z指定で、内容的にもかなり血生臭い。価格は通常版が税込8,990円前後。
舞台は江戸時代初期の京都。瘴気に侵された街を、宮本武蔵が駆け巡る。武蔵は剣を極めるために京へ来た若き武芸者だが、幻魔の襲撃で命を落とし、鬼の篭手を与えられて蘇る。篭手の中には「鬼の佳人」と呼ばれる存在が宿っており、彼女との掛け合いが物語に軽妙さを加えている。顔のモデルに三船敏郎を起用したのも印象的で、武蔵の表情や佇まいに貫禄がある。
過去の鬼武者シリーズとの直接的なつながりは薄く、単独で楽しめる。シリーズの象徴だった「一閃」は健在だが、今作では受け流しや弾きといった防御アクションが大幅に強化され、より現代的な剣戟になっている。敵の「力動」を削り、崩れたところに崩し一閃を叩き込むのが基本サイクルだ。体力を削るだけでは長い戦いになるので、序盤から力動を意識した動きが求められる。

グラフィックはREエンジン製で、刀身の光沢や血しぶき、京都の街並みの再現度が高い。清水寺や周辺の集落など、実在の場所を参考にしている部分もあり、聖地巡礼したくなる仕上がりだ。戦闘のアニメーションも丁寧で、刀同士が噛み合う瞬間の物理表現が気持ちいい。
メタスコアは発売時点で80点台後半を記録し、シリーズ最高水準との評価が多い。特に戦闘とボス戦への称賛が目立つ。一方で、探索のテンポやサイドクエストの単調さを指摘する声も少なくない。プレイ時間はストーリー中心で20時間前後、探索や収集を含めると30〜40時間、最高難易度「鬼殺」まで含めるとさらに長くなる。
初心者が最初に覚えておくべきこと
初めてこのゲームを触る人向けに、序盤でつまずきやすいポイントを整理する。
難易度は「活劇」と「剣戟」から選べる。アクションに自信がない人は活劇から始めるのが無難だ。活劇は敵の攻撃がやや緩やかで、回復アイテムの入手も比較的しやすい。慣れてきたら剣戟に上げると、より緊張感のある戦いが楽しめる。最高難易度の「鬼殺」は1周クリア後に解放される。
操作は基本的にシンプルだ。片手攻撃と両手攻撃を使い分け、防御ボタンで受け流しや弾きを狙う。方向を意識して防御すると、力動の削り方が大きく変わる。ジャストタイミングで防御に成功すると、敵の体勢が崩れやすくなる。回避も重要で、特に赤い予兆が出る攻撃は弾きや受け流しが難しいので、しっかり避ける。
序盤で意識したいのは次の点だ。
- まずガードで敵の攻撃軌道を見る習慣をつける
- 受け流しのタイミングを体で覚える
- 片手攻撃で追撃しつつ、両手攻撃で力動を削る
- 力動が崩れたら崩し一閃を狙い、無理なら距離を取って魂を吸収する
魂の吸収は篭手の基本機能だ。黄の魂は体力回復、赤の魂は強化用、青の魂は鬼の武具用に使う。序盤は赤の魂を優先して基本能力を上げていくのがおすすめ。受け流しや弾き、一閃関連のスキルを早めに強化すると、中盤以降がかなり楽になる。
武器は刀が軸になる。剛弓は遠距離やギミック処理用、鬼の武具はゲージを消費する大技だ。序盤は刀の基礎強化を優先し、二天のような双刀コンボを覚えると戦いの幅が広がる。刀装や御守も後から変更できるので、まずは使いやすいものを選んでおけば十分だ。
探索はセミオープンワールド寄りだ。京都の各エリアを行き来しながら、破魔鏡を集めたり、支線を片付けたりする。主線だけを追うと迷いにくいが、寄り道をするとアイテムや強化素材が手に入る。最初は主線を優先し、詰まったら周辺を探索するくらいのバランスがちょうどいい。
効率よく進めるための進行のコツ
クリア時間を短縮したい人や、無駄を減らしたい人向けに、実際にプレイして感じた効率の良い進め方をまとめる。
主線と支線のバランスが重要だ。支線の中には、後のボス戦で役立つ武器や強化につながるものがある。特に序盤の清水寺周辺や巌流戦前後で手に入るものを優先すると、中盤の苦戦が減る。破魔鏡の位置はエリアごとに決まっているので、通過した場所はメモしておくか、マップを活用するとよい。
強化の優先順位はこう考えるとスムーズだ。
- 刀の基礎攻撃力と受け流し・弾き関連
- 魂吸収の効率(攻撃中吸収が解禁されたら即強化)
- 体力と力動の上限
- 鬼の武具や剛弓の実用性
中盤以降は敵の力動が厚くなるので、弾きと崩し一閃の精度が勝負を分ける。ボス戦では「この攻撃は受け流し」「この攻撃は弾き」「この攻撃は回避」と、相手ごとに型を覚える必要がある。一回で倒そうとせず、パターンを観察する時間を取るのが結果的に早い。

収集要素はそこまで厳しくないが、白金トロフィーを狙うなら計画的に動く必要がある。戦闘関連のトロフィーは訓練場で効率よく稼げるものが多い。ストーリー中に取り逃しやすいものは、クリア後の周回で補うのが現実的だ。鬼殺難易度は1周クリア後に解放されるので、最初から完璧を目指す必要はない。
探索のテンポが落ちる中盤は、主線を進めつつ、必要な素材だけ集めるくらいに抑えると疲れにくい。京都の街並みは美しいが、同じルートを何度も通ると単調に感じる瞬間がある。そういうときは一旦セーブして、ボス戦や強化に集中すると気分が変わる。
戦闘で本当に大事なポイント
このゲームの核は戦闘だ。ここを押さえておくと、評価も楽しみ方も大きく変わる。
力動を削る意識を徹底する。体力ゲージだけを見て殴っていると、ボス戦が異常に長くなる。攻撃を当てる、受け流す、弾く。この3つで力動を減らし、ゼロになった瞬間に崩し一閃を叩き込む。雑魚ならほぼ一発で落ちるし、ボスでも大きなダメージになる。
受け流しと弾きの使い分けが鍵だ。受け流しはタイミング重視で、成功すると敵の体勢を崩しやすい。弾きは少しタイミングに余裕があり、特に重い攻撃や一部の特殊技に有効。方向入力を合わせると効果が上がるので、敵の攻撃方向を意識する癖をつける。
一閃はシリーズの伝統だが、今作では簡単に連発できるわけではない。力動を削った後や、特定の隙に狙うのが基本だ。完全覚醒状態になると一閃が決まりやすくなり、演出も派手になる。序盤は無理に狙わず、力動管理を優先したほうが安定する。
ボス戦は個性豊かだ。佐々木巌流との戦い、大唾拉、羅掌願、鵺、弁慶、酒呑童子、最終的な源義経など、それぞれに独特の攻撃パターンがある。赤い予兆が出る攻撃は基本的に回避、青い予兆は弾きや受け流しを狙う、といった色分けを覚えておくと楽になる。何回か死ぬ前提でパターンを観察するのが、結果的に最短ルートだ。
中盤以降は敵の連携や絡め手が増える。一人に集中しすぎず、周囲を確認する習慣をつける。剛弓で糸を切ったり、鬼の武具で一時的に優位を作ったりするのも有効だ。
物語とキャラクターについて
アクションの評価とは別に、物語の味わいもこの作品の魅力だ。
武蔵は最初から正義のヒーローではない。剣を極めるために京へ来た若くて血気盛んな男で、幻魔に殺されても「しょうがねぇなぁ」と動き出す感じが人間らしい。鬼の佳人とのやり取りが軽妙で、シリアスな展開の合間に息抜きになる。小野篁や巌流など、歴史上の人物をベースにしたキャラクターたちとの関係性も丁寧に描かれている。
ストーリーのテンポは序盤がややゆっくりで、中盤から加速する印象だ。探索部分が長いせいで「今何のために歩いているのか」と感じる瞬間はあるが、クライマックスに向かうにつれて戦闘と物語が密接に絡み合い、達成感が強くなる。最終的な結末の切れ味は人によって好みが分かれると思うが、武蔵の「剣に生きる」という姿勢が一貫しているのは好感が持てる。
ビジュアルと演出の力も大きい。刀が交わる瞬間のスローモーションや、血しぶきの表現、京都の夜の雰囲気。REエンジンの恩恵をしっかり感じる。音声も大塚明夫の語りをはじめ、キャストの熱量が高く、雰囲気を盛り上げている。

気になった点と向き不向き
良いところばかりではない。実際に長く遊んで感じた不満点も正直に書いておく。
探索の単調さは一番気になった部分だ。京都の街を行き来する時間が長く、同じようなルートを何度も通る。サイドクエストの内容も似通ったものが多く、戦闘の面白さが薄れる瞬間がある。セミオープンワールドにしたことで自由度は上がったが、テンポは落ちた。純粋に剣戟だけを楽しみたい人には、少し回りくどく感じるかもしれない。
通常戦闘の難易度差も大きい。ボス戦は手応え十分だが、雑魚戦は慣れると単調になりやすい。一閃の爽快感に慣れてしまうと、通常の斬り合いが物足りなく感じる人もいるだろう。
難易度の選択は重要だ。活劇は初心者向けだが、アクションに自信がある人には物足りない。剣戟は適度に厳しいが、鬼殺はかなりの覚悟が必要。1周目は無理に鬼殺を狙わず、通常難易度でストーリーを味わってから挑戦するのがおすすめだ。
向いている人は、刀の打ち合いそのものを楽しみたい人、ボス戦で相手の型を覚えるのが好きな人、武蔵と巌流の因縁を最後まで見たい人だ。逆に、探索要素が好きでオープンワールドをじっくり回りたい人や、ストーリー重視でアクションはほどほどにしたい人には、少し合わないかもしれない。
クリア後の楽しみ方と周回の価値
1周クリアした後も遊べる要素はある。鬼殺難易度が解放され、毘沙門剣などの特別な刀装が手に入る。新ゲーム+では強化を引き継げるので、より攻めた戦い方が楽しめる。訓練場で特定のトロフィーを狙ったり、再戦可能なボスに挑んだりするのも面白い。
収集品や刀装のコンプリートは、クリア後の目標としてちょうどいい量だ。白金トロフィーの難易度はそこまで高くなく、60〜70時間程度で狙える範囲とされている。戦闘系のトロフィーはルールを理解すると効率よく稼げる。
続編への期待も自然と湧く内容だ。今作で描かれた世界観やキャラクターの関係性を、さらに広げてほしいと感じた。
まとめ
『鬼武者 Way of the Sword』は、20年の空白を感じさせない剣戟アクションの力作だ。受け流しや弾きを軸にした現代的な戦闘システムと、シリーズ伝統の一閃がうまく融合している。刀がぶつかり合う瞬間の手応えと、強敵を斬り伏せたときの達成感は、他のアクションゲームではなかなか味わえない。
一方で、探索のテンポや中盤の単調さは否めない。戦闘が好きな人ほど後半で火が付き、探索が苦手な人ほど中盤で少し息切れする。総合的な評価としては、アクション重視の人には強くおすすめできる。シリーズファンならもちろん、今まで鬼武者を知らなかった人でも、刀の打ち合いに魅力を感じるなら試す価値は十分にある。
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実際にプレイして一番印象に残ったのは、武蔵が「剣に生きる者にとって、戦いこそすべて」と言い切る姿勢だ。大義名分よりも、ただその道を楽しむという心意気。ゲームとしても、プレイヤーに「斬ることを楽しんでほしい」という作り手の意図が伝わってくる。
もし迷っているなら、体験版があるうちに触ってみるのが一番だ。刀を振った瞬間の感触で、この作品が自分に合うかどうかがわかるはずだ。長い空白を経て戻ってきた鬼武者は、まだまだ斬るべき幻魔を残している。
